ブログ
2018年5月28日
【Vol.1】大谷翔平に学ぶコミュニケーションの向こう側_濱潟好古
3月末からのルーティンがある。
ずばり・・・毎朝、大リーグロサンゼルス・エンゼルスに所属している大谷翔平選手の投打にわたる「動画チェック」。
別にスカウトでもないし、もはや野球関連の仕事をしているわけでもないのに本当によく毎日毎日、飽きもせずやっている。
10年前はこれが大谷ではなく、イチローや松井秀喜だったと思うと妙に懐かしくなりはするが、それもまた野球の醍醐味ということで・・・
そして、動画のついでに記事もチェックする。これが一日の始まりだ。雨が降ろうが、雪が積もろうが、台風がこようがこのルーティンは変わらないだろう。
「経営者であれば、まずは日経新聞読めよ」なんて声も聞こえてきそうだがもはや野暮だろう。
自分自身を最高の状態まで高めるために必要なことであれば、何でもやることをお勧めする。ここでいう最高の状態とはあくまで仕事上における状態のことだ。遊びのことではない。
とにもかくにも大谷翔平の動画を見て、記事を読み、一日が始まるわけだ。
2018年5月27日の記事でとても興味深いことがあった。
大谷の女房役のマーティン・マルドナルド捕手と実況席とのやり取りだ。
「試合中にマウンドに足を運んだ際、オオタニとどうやってコミュニケーションをとっていますか?」という視聴者の質問に対して、女房はこう答えた。
「実は、彼はスペイン語をたくさん知っているんだ。英語よりもスペイン語の方が分かっているよ」
マウンド上で通訳を介さないときにスペイン語を使うという。大谷は大学を卒業していない。高校時代にスペイン語を習得する環境なんてほぼ皆無だろう。
ということは、渡米後、もしくはプロ野球の世界に入ったときからスペイン語を独学で習得していたのかもしれない。
ちなみにこの女房はプエルトリコ出身だ。母国語はスペイン語になる。
ここで感じたことは、個人のことだけを考えれば、言葉なんてどうでもいい。
ただ、野球とはコミュニケーションをとりながら進めるスポーツだ。周りが全員外国人ということになると、そのコミュニケーション方法も難しくなる。
そんな中、若干23歳のこの天才アスリートはスペイン語を使っているという。
たまげた。
それと同時になぜ大谷がここまで成績を残せるかが分かったような気がする。
自分で自分が最高のアウトプットを出せる環境を作りだし、そして、自分だけでなく周囲も最高のアウトプットを出しやすいように努力をしているということだ。
ここでいうアウトプットとは行動することによって生まれる「結果」のことだ。
一般企業を例に挙げてみよう。
とある営業部が日本人と中国人の混合チームだったとする。すると、日本人は中国人に中国語で話しかける努力をし、中国人は日本語を話せるレベルまで努力をするということになる。意思疎通を強化することにより、このチームは最高のアウトプットをだすだろう。
もはや、日本語、中国語、スペイン語なんてどうでもよいかもしれない。言葉力のうまい下手ではなく、これは「気づかい」や「気配り」そして「心配り」の域に達していると思った。
自分の夢をかなえるために渡米し、さらには自分の役割までしっかりと把握している。チームの戦力になり、チームを世界一のチャンピオンにすることが大谷の仕事だ。
良質なコミュニケーションの先には最高のアウトプットしかない。
社長が分かってくれない、部長がわかってくれない、部下がわかってくれない、同期が協力してくれない・・・なんてコミュニケーションによる悩みを持っているビジネスマンは思っている以上に多い。
なぜコミュニケーションをとる必要があるのか。
答えは明白だ。組織として、最高のアウトプットを出すためだ。ミスコミュニケーションはチーム内のほころびを生む。ディスコミュニケーションは人間関係を最悪なものにする。
そんなチームが最高のアウトプットを出すことはない。
コミュニケーションの先に何があるのかをしっかりと考え、行動に移せば、後退することはない。
コミュニケーションの根底は「気づかい」「気配り」「心配り」だ。
腹立つ上司にでもこの3つをフルに発揮してみたら全く違うアウトプットが生まれるかもしれない。逆もしかりだ。思い通りに動いてくれない部下に対しても有効的だろう。
先の女房マーティン・マルドナルド捕手は言った。
「SUAVE(スアベ)とかキーワードをよく使うんだ」
SUAVEはスペイン語で「落ち着いていこう」という意味だ。
周りが見えなくなるということは、それは野球もビジネスも衰退の域に向かっていることと同じだ。
周囲が見えなくなるときの魔法の言葉、「落ち着いていこう」
私自身、大谷よりも一回りも上だが、学ぶことは多々ある。
学びに育ちもキャリアも年齢も関係ない。そんなことを気にし始めたら一気に現状から後退してしまう。
こちらはこちらの世界で学び実践させてもらおう。
今年の一つの目標ができた。
今年中にもエンゼルスの本拠地の「エンゼルスタジアム」にでも足を運ぶことだ。
そして、大谷がピンチになったらスタンドから一丁前に大声で言ってやるよ。
「SUAVE」ってね。
余裕こいて笑顔で応えてくれそう気がしてならない。